きつつき懐古録3

雑炭か下駄にしか使われていなかったブナ材を使って、高山に曲木家具の工場ができたのは今から100年前。地元の青年実業家たちが出資し合った、株式会社としてのスタートでした。

 

一世紀を経て、私たちは地場産業としての変わらぬ想いをもって進んでいます。

 

「きつつき懐古録」では、先人たちが生み出してきた家具を、次の100年につながる証としてご紹介します。


火鉢置き

これは飛騨産業の前身である飛騨木工で作られていた、火鉢置きです。

日本人の大半がまだ畳の上でくらしていたころ、時代は少しずつ欧米化へと進みます。

畳にカーペットを敷き応接家具を置くという、お客様をお迎えするための新しい様式に合わせて、暖をとるための火鉢用に脚高の台を開発したのではないかと思われます。
この時代の椅子と同じように、曲木を取り入れた丸みを帯びたデザインは、どこか優しく朗らかです。

火鉢のぬくもりと共にお客様と過ごすその空間を暖かく演出したことでしょう。

火鉢置き

W32×D32×H62
製造 昭和初期
材料 ブナ材
塗装 春慶漆仕上げ

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