日本の森林問題
世界の森林面積は、熱帯地域における農業開発や違法伐採等により減少を続けています。そのため「森の木は伐採してはいけない」と多くの人が認識しているかもしれません。ところが、日本では世界とは異なる状況を抱えています。
日本の森林面積は、国土のおよそ3分の2となる約2,500万ヘクタールですが、50年以上横ばいで減少していません。そのうち約54%がナラやブナなど広葉樹を中心とした天然林で、約40%がスギなど針葉樹で構成される人工林、約6%が伐採跡地や竹林などです。現在では多くの樹木が成熟し利用期を迎え、その蓄積量はおおよそ2.9倍に増加し、これにより諸問題を引き起こしています。
森林蓄積量の拡大が
もたらす悪影響
日本の天然林の場合、過去に伐採され天然更新した二次林と呼ばれる広葉樹林が大半で、このような森林の立木を伐採せずに放置すると、枝葉が茂り地面まで日光が届かず、ナラなど陽樹の芽生えや若木の成長を阻害してしまいます。また、近年ではカシノナガキクイムシによってミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」被害が急増し、全国的な問題となっています。
人工林においては、終戦直後や高度経済成長期に造林された針葉樹が大半を占め、その半数以上が利用期である50年生を超えています。放置すると日光が届かず樹木や下層植生が繁茂できない暗い森林となり、森林機能が低下します。
さらには、土砂災害や生物多様性の損失、地球温暖化など、私たちの暮らしに様々な悪影響を及ぼします。
日本の木材を活用して
豊かな森づくりを
日本の森林の健全さを取り戻すためには、森林に蓄積される木を、家具や建材として活用することが急務です。HIDAではこの課題に対応するため、2005年にはエンツォ・マーリ氏とともに、圧縮技術を用いて杉を活用した家具を発表、2022年には原研哉氏とともに幹の細い広葉樹を活用した家具を発表するなど、日本の木材を活用する取り組みを推進してきました。
日本の森から生まれた家具を通して、美しい森のある未来へ共に歩みませんか。