日本の林業を潤して
美しい森へ

日本の森林問題

世界の森林面積は、熱帯地域における農業開発や違法伐採等により減少を続けています。そのため「森の木は伐採してはいけない」と多くの人が認識しているかもしれません。ところが、日本では世界とは異なる状況を抱えています。
日本の森林面積は、国土のおよそ3分の2となる約2,500万ヘクタールですが、50年以上横ばいで減少していません。そのうち約54%がナラやブナなど広葉樹を中心とした天然林で、約40%がスギなど針葉樹で構成される人工林、約6%が伐採跡地や竹林などです。現在では多くの樹木が成熟し利用期を迎え、その蓄積量はおおよそ2.9倍に増加し、これにより諸問題を引き起こしています。

出典:林野庁森林資源の現況(令和4年3月31日現在)
を参考に作成  
日本の森林面積は50年以上
横ばいで減少していません。
出典:林野庁森林資源の現況(令和4年3月31日現在)
を参考に作成  
森林蓄積量は50年間で
おおよそ2.9倍に増加しています。

森林蓄積量の拡大が
もたらす悪影響

日本の天然林の場合、過去に伐採され天然更新した二次林と呼ばれる広葉樹林が大半で、このような森林の立木を伐採せずに放置すると、枝葉が茂り地面まで日光が届かず、ナラなど陽樹の芽生えや若木の成長を阻害してしまいます。また、近年ではカシノナガキクイムシによってミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」被害が急増し、全国的な問題となっています。
人工林においては、終戦直後や高度経済成長期に造林された針葉樹が大半を占め、その半数以上が利用期である50年生を超えています。放置すると日光が届かず樹木や下層植生が繁茂できない暗い森林となり、森林機能が低下します。
さらには、土砂災害や生物多様性の損失、地球温暖化など、私たちの暮らしに様々な悪影響を及ぼします。

手入れされ明るく光が入り込む人工林
枝打ちや間伐が行われず荒れた人工林

日本の木材を活用して
豊かな森づくりを

日本の森林の健全さを取り戻すためには、森林に蓄積される木を、家具や建材として活用することが急務です。HIDAではこの課題に対応するため、2005年にはエンツォ・マーリ氏とともに、圧縮技術を用いて杉を活用した家具を発表、2022年には原研哉氏とともに幹の細い広葉樹を活用した家具を発表するなど、日本の木材を活用する取り組みを推進してきました。
日本の森から生まれた家具を通して、美しい森のある未来へ共に歩みませんか。

私たちの国産材活用の現状と
これからについてお話しします

国産材製品売上の比率を現在の1.9倍に

2024年現在、HIDAが製作する家具の国産材製品売上の比率は16%ですが、2030年には30%を目指しています。

HIDAの国産材活用事例

針葉樹の活用

スギはとても軽く温かみがあり、木目が美しいなど様々な特長がありますが、軟らかい点は強度が必要な家具用材としては短所でした。私たちはこの軟らかいという短所を、加熱圧縮することによって、より強度の高い材料へと生まれ変わらせる技術を開発しました。圧縮した材料は「KISARAGI」や「HIDA」シリーズに使用しています。

スギ林
スギの圧縮材
(左から無圧縮・30%圧縮・50%圧縮)
KISARAGIシリーズ
(2014年グッドデザイン金賞)

広葉樹の活用

日本の広葉樹は幹が細いため、節や曲がりといった一本一本の個性を外すことが難しく、広葉樹の大半は、燃料用などのチップ材にされています。私たちは、個性豊かな日本の広葉樹を活用するため、樹形を取り入れた照明の開発や、小径木を活用した家具開発を実践しています。また、地域資源である温泉熱を利用した木材乾燥室を2023年11月に新設することで、国産広葉樹の乾燥時間を大幅に短縮し、利用拡大を推進しています。

間伐材や枝打ち材を活用した
「梢照明」シリーズ
国産ナラの小径木を活用した
「SUWARI」シリーズ
温泉熱を利用した木材乾燥室を備えた
奥飛騨 栃尾工場

節材・枝葉の活用

一本の丸太から家具として使用されるのは25%~35%です。私たちは貴重な森林資源を無駄なく活用するため、2001年には、これまで破棄していた節材を取り入れた「森のことば」シリーズを発表。また、2016年には枝を取り入れた「kinoe」シリーズを発表。さらに枝葉や幹から高圧水蒸気蒸留法により樹液を抽出し、エッセンシャルオイルなどアロマ製品や、バイオスティミュラント資材を生産しています。

節材を活用した
「森のことば」シリーズ
枝を活用した
「kinoe」シリーズ
枝や葉を活用した
エッセンシャルオイル

経営者メッセージ

森と歩む

日本の森から生まれた家具