飛騨産業は、令和二(二〇二〇)年、創業から一〇〇年を迎えました。
大正九(一九二〇)年、山に眠っているブナの木を活用して、曲木の家具をつくろうと、町の有力者有志が出資して始まった中央木工株式会社がその前身です。
一〇〇年前はちょうど、世界的に猛威をふるっていたスペイン風邪が、ようやく収束を迎えようとしていたころ。どこか現代と通じるものがあります。
激動の時代を生き抜いて、これからのまた新しい一〇〇年に向かって行くために。創業当時に制作していた製品を、いま一度、現代に復刻してみようじゃないか、というプロジェクトが昨年からスタートしました。
復刻したのは「第七號椅子」。第七號とは、当時の製品番号です。曲木の技術を存分にいかした、いまで言う社内デザインの椅子です。
いざ製作を始めてみたら、これがなかなか山あり谷あり。一筋縄ではいきませんでした。完成までの道のりは、一〇〇年前の先人の知恵をたどる道のりでもありました。
そんな「第七號椅子」復刻の物語、しばしおつきあいください。