国産材をつかうということ
①森を保つ

日本は国土の68.4%が森林であるにもかかわらず、木材の自給率はわずか41.1%にとどまり、年間およそ12,291億円もの木材を輸入しています。山には森林資源が大量に放置されているにもかかわらず、活用が進んでいません。その背景には、第2次大戦によって荒廃した森林の生産性を高めるため、広葉樹を伐採し、建材用として育成が早くて楽な針葉樹を中心とした樹種転換を進めてきたことにあります。にもかかわらず輸入関税の撤廃や円高による輸入増加さらに建築工法の変化などによって国産材の価格が低迷し、林業が産業として成り立たず、山が荒廃するという悪循環に陥ったのです。

 

枝打ちや間伐が行われず荒れた森林

 

手入れされ明るく光が入り込む森林

私たちは木材を使う家具メーカーとして、国産材を使った家具やサービスをお届けすることが、森林保全につながる好循環を生み出すと考えています。

私たちの事業は、森からの恵みによるものと自覚し、豊かな森林資源とそこに暮らす生命を育むよう森とともに歩んでいきます。


きつつきの森・荘川プロジェクト

木材は、鉱物資源や化石燃料と違い、太陽エネルギーによって再生が可能な循環型の資源です。持続可能な循環型社会を実現するために、継続的に木材資源を育んでくれる森林をつくっていかなければなりません。
山林に求められる機能は、水源かん養(降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化)、治山治水(山地災害を防止し、土砂の流出を制御)、生物多様性の保全、景観、レクレーション等に加えて、近年はCO2の吸収源機能(カーボンオフセット)の重要性も認識されています。私たちは、このような多くの機能を果たしながら、木材の供給源としても良好に機能する山づくりを目指し、岐阜県、高山市、飛騨産業による協定「きつつきの森・荘川」プロジェクトを発足しました。近隣の山林知識の豊富な方への聞き取りや、岐阜県森林アカデミーの学識経験者の指導による現地調査をもとに、当該地域の気候風土、地形条件、従来の植生等を重視し、実態にあった方式で森林づくりを行っています。

こうした活動は、長期的な視野を必要とするため、地域に根差した継続的な活動が不可欠です。当該地域を含めた一帯における自然観察会、環境学習、実際の作業への参加、ワークショップの開催など、多くの人々が参加しやすいような活動方法を模索し行っています。このプロジェクトをモデルケースとし、子どもたちに美しい森を見せてあげられるように活動していきます。


小さな循環を生みだす取り組み

飛騨高山を、日本一の自然エネルギー都市にしようと2014年に始動したのが「NPO法人活エネルギーアカデミー」。間伐材などの自然エネルギーを活用しながら、飛騨地域で循環を生み出し、小さな経済を回すため、「Enepo(エネポ)」という地域通貨の発行・管理を行っています。

その活動の一つとして、「高山市木の駅プロジェクト」があります。これは市内9カ所にある集積所「木の駅」へ間伐材やスギ・ヒノキの枝葉を集め、集材作業をしてくださった皆さんには労働の対価として、地域通貨「Enepo」を還元・配布します。「Enepo」は、飛騨地域の協賛店で使用することができ、その価値が市外に流出することなく、飛騨地域内でお金と仕事が循環していくという仕組みです。活エネルギーアカデミーでは85歳までの老若男女、個性豊かな仲間たちが集い、地域コミュニケーションの場にもなっています。
飛騨産業ではそのプロジェクトで集められた木材や枝葉を家具やアロマオイルの材料として使用しており、飛騨地域に住む人々が豊かに暮らせる地域づくりに参加しています。


世界の森に目を向ける

森林資源の問題は日本だけではありません。国連食糧農業機関(FAO)の報告書、「森林資源評価2020」によれば、1990年以降、世界では4億2000万ヘクタールもの森林が、農地や植林地として利用するため、大規模に転換され、失われてきました。これは日本の国土の11倍にも相当する広さです。
当社の使用する木材の約94%は外国産材を使用しています。世界的な森の減少を食い止め、持続可能な利用を図るためには、適切に管理された森林から生産された木材を使う事が必要です。そのため私たちは国際的な森林認証制度FSC® COC 認証を受けています。

また、日本においても一般社団法人日本家具産業振興会より、合法木材供給事業者としても認定されており、国産材の利用を通じて日本の健全な森林整備を推進し、持続可能な経済社会構築を目指す林野庁の「木づかい運動」にも参加しています。

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