未利用材の活用
樹木は幹ひとつにも柾目・節・赤太・白太とあり、驚くほど表情豊かです。しかし無節の柾目と画一化にこだわるあまり、せっかくの個性を色で塗りこめ、自然の造形美を無視してきた点は否めません。一本の丸太から家具として使用されるのは10%から25%。見誤った美意識と合理主義のため、森の恵みを活かし切れずにいるのです。私たちは貴重な森林資源を有効活用することはもとより、樹木本来の美しさを発信する観点から、節や枝を天然がつくり出すデザインと捉え、木そのものに寄り添った商品づくりを行なっています。
節の家具
節は、家具を製作する材料としては元来は規格外とされ、廃棄されてきました。しかし、飛騨産業では2001年、高度な匠の技をもとに「節」を主役とした家具づくりに挑みました。それは、お客様が指を挟まないように徹底的に節を磨き上げたり、硬い節のある背板を曲げるために、何度も曲げ木を試行錯誤するなど、大変な努力のもとに実現しました。そして、一点一点表情の異なる個性的なデザインをもつ節の家具は、今では飛騨産業の代表的な商品となりました。
枝の家具
枝は、節の少ない銘木を育てる過程や、山から木を運搬する際に、余分なものとして取り除かれます。 また、家具を製造する木材は、効率的に製材ができて大量生産に向いていることから、木の幹部分が使われることが一般的です。これまでは、チップ燃料などにしか利用されてこなかった枝ですが、製材された木材にはない特徴的なライン、幹を凝縮したような木目の美しさなどは、枝ならではの魅力といえます。材料としては無価値と考えられていた枝を、家具に用いるという取り組みによって、持続的な国産材の育成を目指す、情緒豊かな家具が生まれました。